早大生よ、『120%』であれ!
『広告を研究する会』が巷で話題だ。
フットワークの重い我々中夜祭実行委員会は、とりあえず早稲田というかネット世界を嗅ぎまわってみた。
そして、こんなものを見つけた。
【wasFES2016ゲスト情報解禁!】
— 早稲田大学広告研究会 (@was_104th) 2016年10月10日
本日、お待ちかねの各イベントのゲストを発表いたします!!!
webCMで世界観を存分にお楽しみください🎉#wasFES2016#早稲田祭
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きわどい皮肉は我々の大好物!
単純な4年どもは、こうして早稲田大学広告研究会WAS(以下、広研)に突撃した。
【1】どうしてキミは広研に?
取材に応じてくれたのは幹事長の嶋元君。
「広告に興味は無かったのですが、一人の先輩にあこがれて入会しました。そして次第に広研というサークルやそのメンバー、広告が好きになり幹事長になりました。幹事長は後輩とも関われて役得かなと思って。幹事長といっても、上に立つというよりは真ん中にいたいです。」
後輩は「めちゃめちゃかわいいです!」とのこと。彼はスケジュールを工夫してゼミと幹事長を両立している。
【2】似た名前の団体がKOされましたが。
KO大学での事件の話が出た。この一件以来、早稲田の広研にも風当たりが厳しい。
「様々な方面から『早稲田は大丈夫なの?』という問い合わせが来ました。TVでも偉そうな人が『広告研究会と名のつくサークルはどこもやってますからね』って言ってたし(笑)、『見られ方は一緒なのか』と驚きました。」
早稲田の広研は、問題のあった団体とは全く別のサークルだ。嶋元君は、今回の事件を通じて初めて慶應の広研を意識したそうだ。不祥事のあった団体と同一視されるという一見好ましくない現状があるが、彼はそれを味方につけようとしている。
「こういう時だからこそ、『早稲田の広研は何つくってるんだ?本当に広告をつくってるのか?』っていう注目…ただの期待ではなくて疑いもあると思うんですけど、それを利用していく、もったいないので。せっかくならその注目度をうまい具合に活かせればと。」
【3】最近よく燃えますね
注目度を活かすと言えど、何事も『炎上』しやすい昨今においては決して容易なことではない。広研が制作した学部別ポスターの中にも『炎上』してしまったものがあったという。
Q.メディアが燃えがちな今、広研はどうやって早稲田を盛り上げる?
「基本的に自分たちのスタンスは変えずに広告制作と発信を続けて、その内容に対して気を悪くする人がいたらしっかり謝ります。でも、広告をつくらないとか、ありきたりな表現だけに限定するのではなく、最低限のしてはいけない表現には今まで通り気をつかって、ネガティブな反応には真摯に対応する。そうやっていけばいいと思います。」
守りに徹することなく発信し続けるのが広研のスタンス。
↑『商店街ポスター展』では、早稲田の商店街21店舗のポスターをつくって総選挙をした。
【4】早稲田の何が好き?
一般に、大学祭を『盛り上げる』ために多くのミスコンが開催されてきた。今回の慶応の一件は、名物となっていたミスコンが中止になった点でも注目を集めていたように思われる。早稲田でもミスコンをやろうとする動きが見られた。しかし彼は、早稲田はミスコンに頼らずとも盛り上がれる大学だと言い切る。
「ミスコンが学園祭の目玉・年間行事のトップにある大学はいっぱいあると思うんですけど、早稲田はそれが早慶戦なり100ハイなりでいい。ミスコンが持つ華やかさとは全く逆のものですけど、それでいい大学だと思うんですよね。自分たちはミスコンはやらないスタンスだし、(早稲田は)ミスコンがなくても盛り上がると思います。」
ところで、今年も早稲田祭が迫っている。
Q早稲田祭における広研の見どころは?
「早稲田祭の企画は、1,2年生の成長の場で、3年生は参加しないんです。2年生も1年生のフォローだけ。つまり、これまで受け身だった1年生が、MCだとかディレクターだとか広報のトップだとか、初めて仕事を任されて動く場なんです。1年生は初めて自分の意志で動いて、『広研ってこんな活動ができるんだ』とか『早稲田祭ってこんなに大きいんだ』って知る場なので、そのがむしゃらな姿を温かい目で見てほしいです。」
だが不慣れな人に任せればリスクも大きい。
Q.不安はないのか?
「自分は学院出身で、今年で早稲田6年目になるんですけど、早稲田が、早稲田生がめちゃくちゃ好きなんです。でも学生って毎年入れ替わるから、俺が好きって言ってる人たちって1年たりとも同じメンバーじゃない。それでも毎年変わらず早稲田が俺の好きな早稲田でいてくれるのは、サークルとか団体っていう枠組みがあるからだと思います。枠組みがあるから、新しく入ってきた人たちもそれに沿って古き良き同じことを続ける。100ハイも早慶戦もそう。広研では、その(古き良き同じことの)一つが早稲田祭の企画。先輩方も不安だったって今は分かるけど、任せてくれたことへの感謝があるから、自分も任せたいです。早稲田のいいところの一つに、いろんなサークルがあるところがあります。例えば、僕は大隈講堂でプロジェクションマッピングやりたいと思いました。でも早稲田にプロジェクションマッピングサークルってすでにあるんです。今自分がパッと思いつくようなことなんて、どっかのサークルがすでにやっている。それってすごいことだし、早稲田生のどんな希望でも叶えらえるのはサークルっていう枠組みのおかげだなって。」
彼は早稲田祭を『戦争』-それも蹴落とし合いではない『純粋な争い』と形容する。
Q.その心は?
「Twitterで他のサークルのことを叩いても別に捕まりません。でも、カッコ悪いし早稲田生っぽくない。そういうのをやると、早稲田はどんどんつまらなくなっていく気がします。死ぬほどある選択肢の中で、自分が選んだことに誇りを持っているのと一緒で、他の人が誇りを持ってやっていることを認めることも大切だと思うんです。早稲田祭は連携プレーというより、各サークルの個人技の集まりです。みんなが各々のサークルで芸を磨き上げることが、早稲田大学の魅力をどんどん増していく。そう思うと、早稲田生はライバルであり仲間だなって。早稲田祭に例年16万人も来る理由は『どっかのサークルだけの何か』だとは思わないです。これまで通りそれぞれ好きなことをすればいいし、他の人が頑張っていることも認めるけど、別に手をとり合わなくていい。隣のチュロスには負けないとか、屋台でもそういう争いがあればいいなって。同じ場・同じテーマで戦えれば、早稲田は面白くなるしカッコいいと思います。自分たちも負けたくない気持ちはいくらでもあります。」
自分と異なる人・異なる価値観を認めることは、広研の会員にも求められている。今年広研104年間の歴史で初となる選考を提案・実行した彼が最も大切にしたのも、『いろんな人がいていい』という考えが持てるかどうかだった。
Q.ではそんな広研を楽しむ秘訣は?
「『120%』。これは広研の理念、楽しみ方であり、学生生活にも当てはめられるものだと思っています。『濃い過程』と『良い結果』と『充実した遊び』っていう3つで形成されるサイクルです。限界を超えて成長しようってことです。」
Q.と言うと?
『濃い過程』
「例えば、早稲田祭に去年16万人呼んだとして、今年の早稲田祭も16万人呼ぶとします。すると、去年よりも楽しくない。去年呼べたノウハウがあるから、去年ほどつらくなくて、達成感が湧きません。でも17万人呼べば、プラス1万人呼ぶという未知の領域に行ける。そしたら活動は勝手に濃くなると思うんですよ。活動の過程が濃くなると、あとで振り返った時に、『何これ、めっちゃ俺ら目やつれてんじゃん』とか『この時マジで喧嘩したよね』とかって楽しくなる。」
↓
『良い結果』
「『濃い過程』で活動すると、自然と結果がよくなります。去年より前より『良い結果』が出るってことは、120%になったことの体現。」
↓
『充実した遊び』
「遊びが楽しくなるためには、死ぬほど頑張って良い結果を出した後じゃないといけないんです。例えば、広研は週に2日×3時間、広告を考えてます。多分その時間で毎回カラオケ行った方が楽しい。でも週2×3時間行くカラオケより、死ぬほど考えて広告作って優勝してから行くカラオケの方が絶対楽しい。それに、『良い結果』を出した直後にまた活動しようとするとダレちゃうんです。だから遊ぶのは大事。遊びでシメて遊び飽きて、『じゃあもっとスゲェことするか』ってなって、また『濃い過程』につなげる。」
Q.もしかして!
「全部相関してるんです。遊びがないと『濃い過程』にならないし、『濃い過程』がないと『良い結果』が出ないし…もちろん『良い結果』っていうのは1位になることだけじゃなくて、自分が『これ優勝しなかったけど、絶対俺ら1位だよね』って思えればいいんですけど、そう思えるかどうかは過程(が濃いか否か)次第。『人は、楽しむためには常に成長し続けなければならない』っていう、ブラックな考え方です(笑)。これがどうやったら会員に楽しく伝わるかなって最初悩んで、『120%』を思いつく前は『辛いを楽しむ』とかにしてたんですが、もっとポジティブなものにしたくてこれに決めました。」
【5】早大生に向けて一言
「『常に今以上を求めれば、大学生活は常に充実したものになるはず』だと思っています。結局いくら評価されても、自分が頑張ったことじゃなかったら嬉しくないじゃないですか。その逆もそうで、頑張って結果がダメでも『こんだけやったし、やってよかった』と思うために、死ぬ気でやることが大事です。例えば100ハイ。同じ2日間で箱根に旅行したら楽しいことばっかりだし、100ハイのために靴と寝袋買ったら箱根よりお金かかるかもしれない。でも箱根より達成感あるだろうし、思い出したとき楽しい。それって100ハイ自体が楽しいコンテンツだというより、ちゃんと自分が頑張って苦しんだからですよね。早稲田の人って多分それが出来る人たちなんです。」
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『炎上』を恐れて守りに入ったり自粛ムードを醸し出したりしている場合ではない。
『120%』-『濃い過程』を経て『良い結果』につなげ、『充実した遊び』を心ゆくまで楽しんだらまた『濃い過程』に入る。そんな大学生活を送れ!
仲間・ライバルとして同じ土俵で競い合うことで、早稲田の面白さはつくられていく。フェアに戦え、早大生!
広研の真ん中で、彼はこれからも発信していく。
ゲスな4年どもは嘆息した。内心入会しておけば良かったと思ったりもした。
ゲス相手にも丁寧に分かりやすくお話いただき、ありがとうございました。
(取材:2016年10月13日(木))